豊崎愛生3rdコンサートツアー The key to Lovin'のこと その4

クローバー

ツアーがおわってすぐのおかえりらじおで、ステージ上では涙を見せてはいけない、ということを豊崎さんは語ってくれました。この話は以前にも僕はどこか(たぶんラジオだと思うんだけどはっきりと思い出せず…)で聞いたことがあって、豊崎さんはそういった強い信念をもってステージに立っているということをずっと認識していました。
2014年に行われたsphere's eternal live tourの最終公演でも、それを印象付けるシーンがありました。ライブの終盤、アカペラver.の“Future Stream”のあと。ツアーの終わりを迎えることへの一言。スフィアも客席も湿っぽい空気になってしまっていた中、豊崎さんがすこし間を置いて発した「なに話そうかなぁ…」という一言でその空気がほぐれたような気がしました。これは自身の役割を意識して、いまどうするべきかを考えて出た言葉だったはずです。

もしかすると、豊崎さんの信念からすれば、客席からでもはっきりとわかるほどの涙を見せてしまったこと、それは彼女のポリシーに反するもので、あまり良い思い出ではないのかもしれない。そんなことを思いつつ、ツアーが終わってからも、その涙について安直に感想を述べるのも憚られるような気がしていました。
それでも、その涙の理由を豊崎さんがおかえりらじおで笑いながら話してくれたことが嬉しくて、これもまた豊崎さんが前に進んで行く力になるんだなと。豊崎さんがこれまで経てきた良いことも悪いことも全部ふくめて自分をつくっているというのが3rdアルバム“all time Lovin' ”と、そのリード曲“クローバー”のコンセプトで、結果的に、それを体現したツアーファイナルになったのではないでしょうか。

walk on Believer♪

舞浜でのライブのときに、新曲つくっちゃう?みたいな話をしていたらほんとにツアー中にできてしまった曲。
そんな経緯もあって、3rdアルバム発売以降はじめてのシングルでありつつも、流れとしては“all time Lovin' ”のなかで生まれたものです。“letter with Love”における“ディライト”と同じ立ち位置。“ディライト”がそのふたつのアルバムを繋ぐ曲だったように、“walk on Believer♪”もこれまでとこれからを繋ぐ曲になることでしょう。

初めて披露されたのは、神奈川県民ホールでのライブでした。個人的にいちばん「楽しいライブだった」という気持ちがつよかったのが、この神奈川公演です。ツアーのはじまり!とか、地元!とか、ファイナル!とか、そういう要素がなくて、豊崎さんにとってもファンにとっても、良い意味で気の抜けた公演だったと思います。新曲初披露となるとここしかなかったのかな。

迷うこともあったけれど、いつもたくさんのスタッフのみなさまに支えられて、耳をかたむけてくださるみなさまが笑ってくれて。

ふと振り返ると、わたしの歩いてきた散歩道は色とりどりの愛と音楽であふれていました。

“みんなと歩いてきた道を信じてる”

そんな想いを込めて『walk on Believer♪』と名付けました。

(引用元:豊崎愛生オフィシャルブログあきまつり 2016年8月31日『walk on Believer♪』

こんな想いが込められた“walk on Believer♪”は、豊崎さんのこれまでの音楽活動のひとつの集大成であり、そして、これからの指針にもなる一曲だと思います。「余計なものを削ぎ落として、ありのままの自分らしさを見せるということを最近は意識していて、それができていると思っている。」9/19にタワーレコード渋谷店で行われたリリース記念インストアライブで、豊崎さんはこんな話をしていました。飾らない自分を見せるということは、ときには負の側面を見せることにもなります。それを厭わずにさらけ出していくことで、豊崎さんの言う「聴く人の生活に溶け込む音楽」により近づくのだと、豊崎さんがこれから目指す方向も示しているように感じました。

豊崎愛生 3rdコンサートツアー2016 The key to Lovin’を終えて

今回のツアーは豊崎さんの「音楽」に重きをおいた構成でした。聴かせるところは聴かせる、みんなで盛り上がるところは盛り上がる、というメリハリのあるセットリストで、ファンにとってもあまり余計な気を回さずに楽しめるようになっていたように思えます。クラップをしたり、みんなで歌ったり、それぞれが自由に楽しむというかたちが豊崎さんのライブの理想形であり、限りなくそれに近いツアーでした。豊崎さんの歩む道をこれからもまた一緒に歩いていきたいと、強く思います。


個人的に印象に残っている話として、大阪公演アンコールでのMCにて。
「アンコールって当たり前にあるものじゃないんですよ。」
これはファンを自称するのであれば、必ず胸に留めておかなくてはいけないことだと。