戸松遥 BEST LIVE TOUR 2016〜SunQ & ホシセカイ〜の感想などなど

戸松さんのベストライブツアーに行ってきました。
楽しかった!の一言。これに尽きます。


Q&Aリサイタル!

言わずと知れた、戸松さんのライブで最高の盛り上がりを見せる“Q&Aリサイタル!”
パシフィコ横浜でのツアーファイナル、通常のセットリストに加えて、ダブルアンコールとしても歌ってくれました。ツアーファイナルということで「ダブアンあるかな〜?あるならなに歌うかな〜?」なんて話をしたりもしていましたが、まあ十中八九これだろうと、そう確信していました。やっぱり何度聴いても楽しいし。
「BEST LIVE TOUR」と冠している以上、このツアーを締められるのは“Q&Aリサイタル!”以外になかったのではないでしょうか。

デビュー曲というわけでもなく、初主演だったり絶大な人気のある作品だったりのタイアップがついていたわけでもなく、純粋に曲の良さ、ライブの楽しさでベストアルバム投票第1位までのし上がったのはほんとうにすごい。

この曲が世に出たのは2012年で、もう4年前。スフィアのツアーでの初披露と2ndソロツアー(当時はぼくはまだライブに参加したことがなかったので、その空気を肌で感じていたわけではありませんが…)を経て、あっという間にライブの鉄板曲となり、それから現在まで戸松遥という看板をこの曲が背負い続けてきたように感じます。戸松遥といえばこれ、という曲があることはとても理想的なことです。ただ、その存在感が大きすぎるがゆえに他の曲が小さく見えてしまうようなこともあるような気がしています。

いつか“Q&Aリサイタル!”を押し退けて、ライブの中心にどかっと据えられる新たな曲がまた生まれたらいいな、なんて思ったり、思わなかったり。

バトン

今回のツアーの見どころのひとつに「バトントワリング」がありました。中野で初めて見たときは、驚きとともに大丈夫かな…とちょっと心配してしまう部分もありましたが、それは杞憂に過ぎませんでした。

最後に高く放り投げてそれを掴むところが決めになるポイントなのですが、それを失敗してしまう公演もあったり、明らかに弱気な部分が見えてしまったり、ということもあったのですが、それすらも笑顔に変えてしまうような演出がしっかりされていました。 当然本人は失敗したくないでしょうけど、たとえミスをしても許されてしまうのは、戸松さんのキャラクターのおかげ。(なんとかキャッチしてドヤるところも、掴み損ねてがっくしするところもかわいい)

なによりこれに関しては、ファイナルでビシッとツアー中でいちばんのパフォーマンスを見せてくれたところに「さすがは戸松遥」という感があります。

このバトンを見て思い出すのは、昨年の寿さんの3rdライブツアー“Tick Tick Tick”でのフラッグパフォーマンスで、寿さんはツアーの4公演すべてで完璧なフラッグさばきを見せてくれました。やっていることは同じようなことでも、その内容や本人のキャラクターによって、ここまで変わるんだなあと。どちらも「らしさ」が発揮された演出でした。

starlight

戸松さんのイメージというと、元気で明るくて、ライブは楽しく盛り上がって…というのが多くの人が抱いているものだと思います。ぼくもそうです。「どうしたらみんながもっと楽しんでくれるか」といつも考えているのが戸松さんですから、それでたぶん正解。

で、ある種、そのイメージに反するような曲をあつめたのがベストアルバム-starlight-。

これまでのソロ活動でリリースしてきた曲のなかから、いわゆる戸松遥的ではないものでこうして1枚のアルバムとして形にすることができるくらいに曲がたくさんあるものの、これらをフィーチャーしたライブというのはやっぱり前述の戸松さんのイメージからするとなかなかやりづらいと思います。今回のツアーは、その埋もれがちな曲たちにも光をあてる、という面でも意義のあるものだったのではないでしょうか。

ベストアルバムに収録されている曲はすべて歌うと最初に宣言してくれていたので、どこかで聴けると安心しつつも、ずっと聴くのを楽しみにしていたのが“Circle”。
これを聴くためのツアーだったと言っても過言ではない。
個人的に“Circle”は「戸松遥流 love your life」だと思っています。こういう何気ない日常に幸せがあふれている的な歌詞には、ふとした瞬間に背中を押してもらえる感覚を得ることがたくさんあって。ツアーを終えてから、あらためてこの曲の歌詞を眺めていると、戸松さんのこれまで歩んできた道とこれから歩いていく道を描いているようで、より一層自分にとっての大切な曲になったような気がします。

初心に帰る

正直に言うと、ツアーの初日、中野での公演がおわったあと、物足りない感覚がすごくあって。「戸松遥、君のベストはこんなものか…?」みたいな。

それでも、悶々と一晩過ごして、次の日のライブがおわったら「楽しかった!」になったわけで。たぶんその理由はライブへの心持ちというか、向いている方向が違ったからというか、そんな感じがします。戸松さんのツアーの少し前まで、高垣さんと豊崎さんのツアーにどっぷり浸かっていたことが、その原因だったのではないかと。
この二人の音楽は、どちらかというと受け身でいてもいいもののような気がしていて、ステージから発せられるエネルギーを受容する方面に力を割いていられます。一緒に歌ったりクラップしたり、というところも、あくまで自然に生まれた感情が外部に表れたもので。戸松さんのライブではそれではダメだった、ということなのかもしれません。

「こっちも全力で楽しむ!」という気持ちをもって、それをぶつけるつもりで臨んでからは、それはもう楽しい楽しいライブツアーでした。

気持ちの切り替えってほんとうに大事。ライブの予習なんてものをほとんどしなくなってしまったけど、初心に帰らないといけないなと実感しました。

2年続けてのツアーでしたが、次のツアーもそう遠くないうちにまた観られる気がしています。ベストアルバムをひとつの区切りとして、また戸松さんがどんなものを見せてくれるのか楽しみです。


春から続いていた3人のソロツアーがおわってひと段落です。そろそろスフィアさん本体にもなにか動きがありそう…?