Sphere 10th anniversary Live2019 “Ignition”の感想のようなもの

僕が初めてスフィアのライブに参加したのは2013年のSPLASH MESSAGEで、そのときに抱いたのが、「なんだ。この人たちちゃんとライブやってるじゃん。」的な感想。めちゃくちゃ上から目線だけど。もともと声優の歌とかライブとかに偏見があって、どうせおままごとみたいにやってるんだろうと勝手に思っていたけど、スフィアに関してはそれが完全に間違いだと、初めて見たそのときすぐに分かった。

その「ちゃんとライブやってる感」の大きな要因は、生バンドによる演奏であることだと思っていて、それはその後5年半ほど経った今でも変わらない。ただ歌って踊るだけではなくて、バンドと息を合わせてパフォーマンスをしたうえでステージを作り上げ、ときにはバンドメンバーにもスポットが当たるような見せ場がある。そんなスフィアのライブが僕は大好きだ。

今回のIgnitionでは、どうやら平井さんはいないだろうということが前々からわかっていたのと、なんならおかえりらじおで豊崎さんが「今回はバンドなし」と明言したこともあって、正直に言うと不安だった。楽しめるか不安なんて気持ちは、それこそ初めて参加したSPLASH MESSAGEのとき以来。その不安を言葉にしてしまったら、実際にライブを観て感じるものもそっちに引っ張られてしまいそうだったので意図的にそういうツイートもしないようにしていた。リリースイベントやMusic Rainbow、チョコ祭りもバンドは付かないけど、それらはそもそもそういう限定的なイベントとして受け入れているので、それらが楽しくなかったということではなくて、"LIVE"と冠するのであればちゃんとやっていただきたいと思っている。

で、結局どうだったのか。

普通に楽しかった。めちゃくちゃ楽しかった。

このセトリで生バンドだったらなぁと思いはする。思いはするけど、ステージ上にスフィアがいる、それだけでも素晴らしいことじゃないかとも感じる。いや、「それだけ」なんて言ってはいけない。こうしてひとつのユニットが全員同じ方向を向いて、10年間ステージに立ち続けてくれること自体が奇跡に近い。昨今の某国民的アイドルグループのあれやこれやを見ていて余計にそう思う。

2017年のツアーのときは、今日は誰々をしっかり見るぞ、とその都度決めて観ることが多かったのだけど、今回はなんとなく全体をぼやっと眺めていることが多かったように思う。四人の格好よく歌っている姿も、なんかわちゃわちゃしてる適当な感じも、どれも僕の大好きなスフィアばかりで、「これよ、これ……」とひたすら反芻していた。

僕にとってのIgnitionはスフィアを見続けてきた5年半の間で育んできた彼女らの存在そのものへの愛情を改めて実感できた、そんなライブだった。僕がスフィアのライブの肝だと思っていた生バンドを欠いてもこれだけ楽しかったのだから、もう無敵だと思う。

生バンド至上主義っていうくらいに思っていたこともあったけど、多少軟化したような気がする。今回バンドをなくした理由がそうだとは思わないけど、ユニットを長く続けるための手段として必要なのであれば全くなしではないなと。でも、生バンドだったらもっともっと楽しかったともやっぱり思う。9月からのツアーはいつものメンバーでのライブだったら僕は嬉しい。

10周年イヤー、素晴らしいものになると期待しています。スフィアさん、2019年も何卒よろしくお願いいたします。